異邦人

異邦人 (新潮文庫)異邦人 (新潮文庫)
(1954/09)
窪田 啓作、カミュ 他

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・あらすじ
主人公のムルソーは人と違った感性・価値観を持つ人間である。母親の葬儀には涙を流さず、葬儀の翌日に女と海水浴に行って、映画を見て、一緒に寝た。友人の女性関係に絡んで、殺人を犯した。法廷では彼の非人間的な感性を理由に死刑を宣告される。

・感想
何故、タイトルが「異邦人」なのか、その理由を読者は最初の数ページ目で気付き、ゾクっとすることになると思う。異邦人である主人公の視点から描かれていることが、この物語に異様な雰囲気を醸し出しており、興味深かった。主人公は一見すれば、無感動とか虚無的とかの印象を受けるが、それは相対的な価値観から見るからだということに読み進める内に気付いた。絶対的な視点から彼の思考を眺めれば、かなりのことに感動しており、そして、多くのことを考えていることに驚かされる。一般的な者とは対象が違うだけで。
高校時代、僕は「人は何故生きるのか?」について考えた。色んなことを考えた末、いつかは死ぬ人間に生きる意味などないと悟った。平凡な人も、人類史上で偉大な功績を果たす人も同じである。自分が世界に影響を与えたとしても、死んだら、その世界を自分は見ることが出来ない。死後に尊敬を集めても、虚無となった自分にとっては何の価値もない。とすれば、人生にある色んな出来事には大きな意味が無い。他人に誇れるくらい良い思い出があっても、死後の自分はそんなことを振り返ったりしない。存在が無くなった自分には何も考えることもできないのだから。人が大切にすべき数々の思いが無価値だと思った。ムルソーの価値観はこういうところを出発点としているのではないかと思う。
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by shohey0229 | 2008-04-20 10:47 | 読書