楽毅〈2〉

楽毅〈2〉 (新潮文庫)楽毅〈2〉 (新潮文庫)
(2002/03)
宮城谷 昌光

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■あらすじ

中山に王手をかけた趙は「中山の四都市を献上する代わりに、中山から引き上げる」という取引をあっさりと受けた。もう少しで中山を滅ぼせるのに、こんな軽い契約で手を引くあたりに罠のにおいを感じ取る楽毅だった。そしてよりにもよって、趙王に謁見して四都市を献上してくる役目を使わされる。楽毅は喪中だから行きたくなかったのだけど、自分が行かなければ太子が行かなきゃいけなくなって、太子が行ったら絶対殺されると思ったので、泣く泣く行くことになった。

趙では予想通り、趙王は「四都市じゃないよ、十四都市だよ!」と訳の分からないことを言い始めた。悔しがる楽毅だったが、そこはしょうがない。「予定では僕ら明日来る予定だったじゃないっすかぁ、実は明日残りの十都市を献上しようと思ってるんすよねぇ」とその場をしのいで、王の側近を人質にとって、中山に逃げ帰った。

中山に戻った楽毅は中山王から激怒されるも、喪中だからということで、引きこもった。その間に趙が攻めてきた。三度目の襲撃に中山は壊滅状態に陥った。楽毅が喪中から復帰した頃には、首都を残してほとんどが趙に制圧されてしまった。楽毅は昔陽を取り返してこいと中山王から言われる。死にに行けというような命令なのだが、楽毅は仕方ないと了解する。中山王は事実楽毅に死んでほしかった。喪中で引きこもってる間は楽毅暗殺命令を出すくらい嫌ってた。でもそういう裏工作を防いでくれていたのが、シバキという中山の良識ある軍師だった。

シバキは政治的には楽毅と対立する立場にあるのだが、実は心底中山の未来を憂慮していた。楽毅がいなければ、中山は本当にダメになることが分かっていたので、今ばっかりは対立する家柄だけど、手を組みたいと考えていた。本来の衆議院と参議院みたいな関係か。何とそんなシバキが、楽毅に昔陽に出陣するように中山王に提言したのであった。シバキは昔陽に手を回し、楽毅なら100%討ち取れる状況にしておいたのだ。

シバキの暗躍のおかげで昔陽を占領した楽毅は、シバキの狙いの深さを知る。昔陽は斉に隣接している。公式的には斉は趙の味方なのだが、斉の軍師の摂公は楽毅が大好きである。そして、摂公は中山を救いたいと思っていた。その為の拠点として楽毅に昔陽を取らせたのだ。しかし、いかに摂公と言えども、斉王に「中山を救ってください」と言ってすんなり落とせるはずがなく、散々譲歩して「中山の太子を斉に亡命させてくれれば、中山を助けてやんよ」という条件になった。

中山の太子は良い奴なのだが、王の命令に違反する不誠実さは持っていないので、太子の子供が斉へ亡命することになった。楽毅は昔陽を斉に渡して、一安心する間もなく、趙に占拠された霊寿に向かう。中山の太子を助ける為だ。この時既に中山王は死んでいたので、太子ではなく中山王なのだけど。ちなみに、シバキも死んでいた。悪名高い前・中山王と刺し違えたのではないかと、歴史上では噂されているらしい。

中山の太子(中山王なのだけど、ややこしいから太子にする)は霊寿から逃亡していた。その時敵の矢を受けた。その傷が悪化して死んでしまった。楽毅は霊寿で適当に逃走兵を拾った後、山を根城にすることになる。「このままでは中山が跡形もなく消えてしまう。もう無くなったようなもんだけど、復活させたいなぁ」と思ったので、商人・弧午の元に行く。弧午からは燕王に会う方法を教えてもらった。燕に中山を救ってもらえないかなぁと楽毅は考えた。そして、弧午の娘の弧祥を嫁に貰った。一晩過ごしただけで、弧祥を置いて楽毅は再び旅立つのだった。

■感想

激動の二巻。帝王論が盛んに議論されていたのだが、私は楽毅の「王は1番謙虚じゃなくっちゃいけない」っていう意見に賛成だ。自分の無知を自覚して、謙虚に人から教わる人が王なんだと思う。自分の命令を聞くだけの奴隷を何人集めても、そんな国はすぐに滅亡すると思う。それよりも優秀な人が自然と集まって、一生懸命働いてサポートしてくれるような、そんな国が強い。優秀な人っていうのはプライドの高いスペシャリストだから、こっちの命令は聞かないもの。聞いてもらうには、相当雑用をしてあげたり、持ち上げたりしてあげなきゃいけない。トップってそういう雑用係りなんですよ。学級委員はみんなの上に立っているという意識でいちゃいけない。みんなの下で全体に目くばりして、人の面倒臭がる仕事を引き受けてあげるのがトップの仕事なんです。下の人よりも百倍疲れます。仕事は責任感ばかり重くて、それ自体にやりがいを見出すのは苦労します。でも、人から感謝されるっていうのは嬉しくて、そういう目に見えないリターンを貴重だと思える人には向いていると思います。私がアルバイトでアルバイトマネージャーをやらされた時は、死ぬほど辛かったけど、良い経験だったなと今は思います。トップの苦労が分かる分、愚痴ばかり言ってないで、自ら行動できるようになったから。
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by shohey0229 | 2008-10-09 23:20 | 読書