打たれ強くなるための読書術

打たれ強くなるための読書術 (ちくま新書 705)打たれ強くなるための読書術 (ちくま新書 705)
(2008/02)
東郷 雄二

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■内容

現代の日本人がやっている読書スタイルを否定し、著者は独自の読書スタイルを提案する。その骨子は「知る」「考える」に重点を置いたドライな読書術=「打たれ強くなるための読書術」である。

一般の日本人の読書は「共感」や「感動」など情緒的に行っていることが多い。この情緒的読書の問題点は「知的に打たれ弱くなる」という点である。本の中に自分を投影する読書は、本の内容を鵜呑みにすると換言できる。これは正解を一つに固定したり、早く正解を欲しがる人間性を助長する。結果として、自分で問題点を見つけられなくなる。

一方、「打たれ強くなるための読書術」は能動的に考える読書である。ノウハウとして、分析読書と比較読書が挙げられている。分析読書とは、著者の主観と、客観的事実を切り分ける読書である。著者の主観をはっきりさせることにより、その著者の立場が浮き彫りになる。一方の比較読書とは、他の本との比較である。その本が多くの類書の中でどういう位置付けなのかを明確にする。分析読書・比較読書の段階を経て、正解のない現実世界に耐える力が養われる。

■感想

著者は知識が豊富なので、紹介される具体例が妙にマニアックなものが多い。そこが私にとって、ツボだった。ユーモアを交えるのが好きらしく、関西ならではのちょっと下品なネタも出てくる。大真面目なことを書いているのに、声を出して笑ってしまった。こういう著者は好きだな。

本の内容には賛成。本書では情緒的読書が批判されているように見えるが、実際のところ、著者も情緒的読書にも良い面があることは認めているのだろう。小説を読むことで視野が広がり、人間的に成長する事実ははっきりと認めている。日本人が情緒的読書にあまりに傾倒しすぎている点が著者の憂慮であると思う。

ところで、「正解が唯一に決まった世界」の住人ともうまくやっていく方法は無いものだろうか。「正解のない現実」を知らない人間が目を覚ますのを待っていても無駄だとよく感じている。そういう人にとっては、現実は永久に見えてこない。従って、目を覚ますこともない。
現実を知らないフリをして、感情を合わすことが最善だとは思えなくなってきた。それじゃ低いレベルに全体が落ち着くだけだと思う。主張すべきことはケンカしてでも主張していかなきゃいけないのだと思う。
一方で、天罰は自分が与えなくても、誰かが与えるものだし、他人の考え方に干渉すべきでは無いと考える自分もいる。これは結局、他人の目が覚めるのを待つことと同じなのか。
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by shohey0229 | 2008-10-14 14:22 | 読書