楽毅〈3〉

楽毅〈3〉 (新潮文庫)楽毅〈3〉 (新潮文庫)
(2002/04)
宮城谷 昌光

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■内容&感想

中山の滅亡。楽毅は無職の状態で中国を彷徨う。守るべきものが無くなると人はここまで美しいのかと感じた。最終的に楽毅が人生で大逆転することが分かっているからそう感じたのかも知れない。不運の末に、手にした成功というものが美しくてかっこいいのである。勇気が出てくる。

趙王の死。趙王の親族と臣下達の疑心暗鬼の展開はデスノートみたいで面白かった。この小説を漫画化してみようかとすら思った。しかし、画力が無い。この物語は下手くそでも書けるデフォルメされたキャラクタより、デスノートみたいなシリアスで繊細な絵が似合うと思うから。趙王が死ぬ場面付近では全く趙王の視点が入ってこなかったが何故だろうか。周りから見た趙王のことばかり描かれているので、少し違和感を覚えた。不自然さの理由が解明できない。文章的な効果を狙ったものだと思うのに、明確な理由が解明できないのが少し悔しい。というか、楽毅の父親が死ぬ時も、中山王が死ぬ時も、彼らの視点からの描写は無かったわけで、死にゆく者の死にゆく瞬間を描かないのがこの著者のポリシーなのかも知れない。この小説の世界では、「死ぬ」とか「負ける」ということと「人間として間違った行いをする」ことが同義に扱われている節があるので、死者の視点から物語を描けば、当然その思考は愚かしい描写になる訳で、そうしたものが死者への侮蔑と著者は感じたのかも知れない。死者を辱める行為をしてはならないと信念に据えているのであろう。
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by shohey0229 | 2008-10-18 20:45 | 読書