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フラット化する世界(下)−3

フラット化する世界(下)フラット化する世界(下)
(2006/05/25)
トーマス・フリードマン

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■内容

第三部 発展途上国とフラット化する世界
 第9章 メキシコ守護聖人の嘆き
  フラット化する世界では中国やインドなどの発展途上国が市場を席巻しているが、全ての発展途上国が成功している訳ではない。特にメキシコなどは世界のフラット化によって窮地に立たされている。本章では、発展途上国がフラットな世界で取り組むべき(1)卸売改革と(2)小売改革について、言及されている。
  (1)卸売改革では、開放的で競争力のある国内市場を確立する。市場を開放して、世界中の新しい発想やテクノロジーを受け入れなければ、国の発展は望み得ない。鎖国した国が、没落の一途を辿ることは歴史が証明している。
  次の(2)小売改革は、フラット化する世界への対処である。卸売改革で、市場を開放して一安心はできない。中国からの安価な製品によって、自国の企業・労働者が窮地に立たされるだけである。インフラ、教育、ガバナンスを改善し、国民が高いレベルでイノベーションや共同作業を行うツールと法的な枠組みを整備するのが小売改革である。
  (1)(2)の改革を行う上で、障害となるのは、その国の持つ文化である。フラットな世界では、文化が「どれくらい外を向いているか」と「どれくらい内を向いているか」が重要な要素となる。前者は海外の先進的なアイディアやテクノロジーを受け入れる。後者は国民の団結力を高め、個人では不可能なより高い目標を達成する。日本やドイツが50年前の軍国主義から平和主義へと変わったように、状況が変われば文化も変わる。状況に加えて、その国の指導者が変化し、順応すれば、文化もそれに応じて変わる。


■感想

フラット化は世界の無数の貧困者を救う唯一の手段と説かれていた。物事には勝者と敗者がいるものだが、フラット化はうまくいけば、どの国も勝者になり得るのではないかと思う。ただ勝者でい続けるには、常に猛烈なスピードで走り続けていなければいけないが。

文化の開放性に関してインド・ハイテク産業協会理事長のジェリー・ラオが良いことを言っている。グローバルな競争は、「相手を潰しやる」ではなく、「お互いに高め合おう」という意思が根本で働いていると思う。

「(文化の開放性は必要不可欠だ)なぜなら、他者の才能と能力を敬う気持ちが生まれるからです。世界の別の場所のソフトウェア開発者とチャットしているとき、相手の肌の色を誰が気にするでしょう。人種や民族ではなく、才能を基準にやり取りしているんです。そんなふうに、経歴や出自ではなく才能や成績を基盤にする世界にいるうちに、やがては人間に対する見方そのものが微妙に変わります。」

by shohey0229 | 2008-08-26 20:52 | 読書