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フラット化する世界(下)

フラット化する世界 [増補改訂版] (下)フラット化する世界 [増補改訂版] (下)
(2008/01/19)
トーマス フリードマン

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■内容

第五部 あなたとフラット化する世界

大航海時代、ベルリンの壁崩壊など、以前に騒がれたグローバリゼーションは、欧米の文化を世界に広めるという独りよがりな向きがあった。しかし、今回のグローバリゼーション3.0は「ローカルのグローバル化」という大きな特徴がある。アップローディングは世界各国の個人が自分の周りにあるものを発信するものであって、アメリカ人も「うp主乙」と言う訳である。また、インターネット回線を介した共同作業環境により、インド人も外国に移住する必要がなくなり、アメリカだけに優秀な人材が集中することもなくなった。移住したとしても、ポッドキャスティングなどで、どこの国にいても自国の文化に触れ続けることもできる。欧米が主導権を握るグローバリゼーションではないのだ。もっと言えば、国が支配するのではなく、個人が参加して意味を持つグローバリゼーションなのである。

事実、グローバリゼーション3.0により社会活動家・社会企業家など個人の持つ能力が肥大化しており、大企業もその力を無視できなくなっている。身近な例でいうと「のまねこ」騒動かな。ウェブを利用して資本や人材を調達するのが簡単になったことが背景にある。泣き寝入りして愚痴を言う必要はない。実現しないのは、やろうとしないからだ。

このようにグローバリゼーション3.0は個人に大きな能力を授ける反面、悪い面もある。代表的な例はタクシー運転手との会話がなくなったこと。タクシーに乗ってノートPCやケータイで、遠くに離れた人とばかり会話して、目の前にいる人との結びつきが希薄になった。また、ケータイでいつ呼び出されるとも知れず、目の前のことに集中できなくなった。人間って一つのことに集中しているときが一番「俺って頭良いんだよな〜」と自覚できる瞬間なので、わずらわしさが多い時代は不幸だと言える。本書ではこれを「邪魔の時代」と呼んでいる。ネット上のプライバシー侵害とか個人が好き勝手にほざく批判は、人類が直面した新しいストレス源だしね。人間がみんな犬の嗅覚をどんなことになるだろう? 答えは目の前にあることに集中できなくなる、だ。ウェブのこうした悪い面を認識して、正しい活用を個人個人が模索しなければいけない。


■感想

ネット上では、雑多な意見が錯綜して何が正しいか分からなくなって、どんどん自信をなくしてしまう人が最近多いと感じている。

あらゆる意見には批判がつきものだと認識して、それでも自分の意見を持たなきゃいけないって大変なことだと思う。厚顔無恥になるしか方法はないのか、って考えると、欝になってた方がいいやって思うけど、そういう人って皮肉なことに誰の意見も聞かないもんなんだよな。否定的な考えばかり吸収したから、他人の考え方に対して批判がまず頭に浮かんでくるのだと思う。自分もそうだったな。

もうそういうタイプはネットを見なきゃいいんだって思っている。自分の頭で考えて結論を出せばいいのだ。顔も知らない他人の意見を鵜呑みにしちゃダメだと思う。
by shohey0229 | 2008-09-15 22:51 | 読書